S052鹿児島新聞山鹿戰爭之圖
明治十年四月五日御届
板人 福田熊次良 長谷川丁廿バンチ
画工 安達平七 堀江町二丁目ニバンチ
定價六戔
右図 桐野利秋、淵辺高照、児玉八之進、別府新助、永山矢一郎、男山新吉
中図 咲ノ潟五郎吉、朝日山松五郎
左図 前原一格
暴徒巨魁西郷ハ肥後の國川尻に陣し先陣篠原ハ熊城を囲み三陣桐野利秋ハ山鹿口へ進撃し力士數人に畳を持せ弾丸除となし真先に進ませ跡よりつづく抜刀隊弾丸煙り闇々たる中より斬入る賊兵に官軍之を事ともせず勢ひ左ながら大浪の岩に當てかへすが如く吶喊(おめき)さけんで戰ふにぞ賊兵たちまち敗走なしけり
静岡県立中央図書館での分類は
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国立国会図書館蔵034、と当ページの静岡県立中央図書館蔵を比較してみると、画面下の地面の色が、国会図書館ではくすんだ緑色の単色、静岡県立中央図書館では茶色でグラデーションがかかっている。以下、国会→静岡の順で違いを並べてみると、陰影の青が鮮やかで墨の輪郭線に勝っている→落ち着いた青の陰影で輪郭を補足している。また、相撲取り朝日山の脚絆の襞が白→灰色である。そして一番大きく目を引く違いが、左図左下御届印周辺に岡がある→ないという事である。定価の表示なし→ありという違いもある。
後先の判断を決定づける違いではないが、後者の静岡県立中央図書館所蔵版の方が、コントラストが際立っている上にグラデーションの効果で遠近感が増し、よりドラマチックに見える。また、全体にまとまりが出て、定価が入っている事から、こちらが少し後という事ではないだろうか。