S046暴徒川尻本陣図
ぼうとかわじりほんぢんのづ
明治十年四月 日御届
板元 武川清吉 神田スダ丁四バンチ
画工 河鍋洞郁 湯嶋四丁目十番地
彫銀
右図 彫銀
中図 西郷隆盛 彫工銀
左図 前原一格
鹿ごしま暴徒の惣とう梁(そうとうりょう)前陸軍大将正三位西郷隆盛ハ川尻に本陣を居へ精兵八百人をもってその身をバ護衛させはかりごとを胸中にたたみ各所の戦かひ聞といゑども自若として軍事にハ更に関けい無がごとく日々碁をかこみ酒宴をなし未だ手を戦場に下さずここに昨年暴挙せし前原一誠が末の弟前原一格といへるわか者ひそかに逃れて鹿ごしまに至り此たび西郷の手に随がひ川尻へともにきたり白布へ我名を記し背より脇へむすび下高橋口の先鋒にすすみ大ひに勇をあらわせしを西郷ハ之を詠め盃をめぐらせしとぞ
笠亭主人 記
静岡県立中央図書館での分類は
このページの画像は静岡県立中央図書館のデジタルデータを利用して構成している。また、データに関しては東京大学史料編纂所錦絵データベースを参考にした。
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B002暴徒川尻本陣図(上図)の異刷である。まず同じ版から同じ日に刷った異刷で間違いないだろう。大英博物館と国会図書館あるいは静岡県立図書館に異刷が所蔵されている他の作品と同様に、大英博物館所蔵品は青が強く発色されている。背景の陣幕や着物の一部が大英では紺に静岡では紫になっているので、全体の印象がだいぶ違ったものになるが、他の部分ではほとんど同じ色で少し濃淡を感じる程度である。おそらく保存状態と、デジタル化の過程で発生した色の違いではないだろうか。