S017奇星之實説 きせいのじつせつ
明治十年八月三十日御届
出版人 松下平兵エ 本郷元富士丁一番地
画工 橋本直義 上ノ北大門十一番地
彫 秀勝
價二戔
西郷隆盛
時に明治十年八月上旬より東の方の空にあたり夜な夜なその色紅(べに)の如き大ひなる星出現せり人々めづらしと云ほどに何者か憶説をなして曰く薩賊の総長西郷吉之助が陸軍の官服を着せし如くに見ゆるなどとあられぬ事どもを言ふらせり然るに東京大学理学部の学士ピーウィー。ウィーダル氏の説にいはく「そも此星ハ火星といふて遊星なりされバ本年ハ火星(マルフ)が太陽と地球とに最とも近く寄たれバ大きくも見えまた赤き色も増たるなり色の赤きハ火星の証こ(しょうこ)なり 既に今より百五十年前この星現われたる時西洋にても新星なりと思ひ種々(いろいろ)の説を立 その後七十九年目にあらわれし節も兵乱のまさに起らんとする凶兆ならんなどと風説せり 〔世に此ほしを焚惑星とも云〕 また案ずるに此火星(マルス)ハ二ヶ年五十日目ごとに大陽に近づく事あれど地球ハ反って大陽ともつとも遠くはなるる物なれバ見へざる◯◯◯今より七十年の後明治八十九年にハ本年の如く現れべしと記られたり(のべられたり)
笠亭主人 篠田仙果 録
静岡県立中央図書館での分類は
請求記号 | K915-108-033-030 |
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画題(題名) | 奇星之実説西郷隆盛 |
絵師(画工名) | 楊洲斎周延印(楊洲):橋本直義 |
版元 | 松下平兵衛 |
出版年 | 明治10年8月30日届(1877) |
員数 | 3枚続 |
版型 | 大判 |
彩色 | 錦絵 |
資料名 | 上村翁旧蔵浮世絵集(33) |
カテゴリ |
/浮世絵/31集~40集/33集-周延 |
このページの画像は静岡県立中央図書館のデジタルデータを利用して構成している。また、データに関しては東京大学史料編纂所錦絵データベースを参考にした。
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