B013明治少史年間紀事
Meiji shoshi nenkan kiji
明治十年三月十五日御届?(刷A)
明治十年 御届 (刷B)
出板人 大倉孫兵衛 日本橋通壱丁目拾九番地
画工 月岡米次郎 南金六町十四番地
價六銭
中図 西郷隆盛 篠原国幹 桐野利秋
左図 淵邊高照
鹿児島縣下賊徒蜂起之事件
干時(ときに)明治十年第一月西海の浪平穏(おだやか)ならず政府此に注目あり陸軍士官命を奉じて汽船赤龍丸へ乗組鹿児島へ入港す抑(そも)此港ハ東北ハ大隅に属し西ハ薩摩南ハ海峡に沿ひ港門(みなとぐち)至て狭し中央に桜島あり此島より鹿児島港へ海上一里也官吏ハ同所製造所の弾薬を積込んとする際同縣士族等遮止め(さへきりとどめ)弾薬を掠奪し是を暴挙の手始めとし数千人屯集し西郷氏に迫て隊長たらんことを乞ふ同氏ハ確呼として動かず諭すに大義以て為と雖も伏せずこれにより謝絶して跡を暗(くらま)せしかバ桐野篠原の両氏を巨魁と仰ぎ諸方の士族を煽動して其勢一万余人三手に分れ一手ハ熊本へ繰出し官軍と激戦す然るに西郷軍に将たりと云是不得止(やむをえざる)の謂なるか同氏ハ維新の功臣にて美名世に轟しも桜島の花をちらし悪名を万代に残さんとハ可惜々々(おしむべしおしむべし)
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異版3種類である。国会図書館と大英博物館のライブラリーの色の違い(国会は赤の発色が強い、大英は青の発色が強い)を差し引いてもだいぶ雰囲気が違って見える。真っ先に目につくのが、煙の色の違い。「赤の国会」では煙にはほとんど色を付けていない。一方、大英の2枚は濃さの差はあれ、赤みを帯びた煙が立ち上り、政府の艦船と西郷の間に立ち上る不穏な空気をいやが上にも強調する。更に、船に注目すると国会はグレー、大英Bは少し墨を入れて締まった感じ、大英Aはもう黒船である。陸上の奇岩の陰影も大英Aはかなり強調されている。ただ背景の空や西郷の服に見られるように大英Bは濃い青を使用して全体のコントラストを強くしているようだ。あなたはどれが好みですか?
刷り師の研究の成果が感じられる3枚である。
静岡県立中央図書館にも異版あり。4枚を比べてみた。こちらからどうぞ。