044鹿児島大戦争
かごしまだいせんさう
明治十年七月十一日御届
出版人 木曽直治郎 京橋弓町十九番地
画工 永嶋辰五郎 松川町二番地
右図:永山矢一郎・別府新助・西郷吉之助隆盛・渕辺郡平・桐野のつま
中図:新八の妻 いよ
左図:篠原娘 くに・高島少将
鹿児島勢の中に女軍隊と号く(なづく)一隊にて辺見十良太の姥母を隊長として其人数凡(およそ)五百余名におよべりといふ又薩兵の一隊二千有餘人日向より豊後の重岡へ進入して即時に竹田城を奪ひ佐伯つる﨑等に戦ふたり
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この作品で描かれるのは中央の桜島を背景にして戦う薩摩の女軍と官軍の高島鞆之助率いる別働第一旅団の戦いである。鹿児島城下で5月の下旬ごろの戦いであろう。一方、画面右側奥から見守る薩軍主力の一団はこのときはまだ宮崎に拠点を移したばかりのころだ。記事中にあるのは、薩軍の別働隊野村忍助率いる奇兵隊が、豊後方面で意表をついた戦いを展開していたことである。
ニュースと情報の不確かさと人目を引く画題とスターの登場。当時の錦絵に求められていた物が勢揃いしているような画である。こういう味を持った画が必然的に多くなっていく。17年後の日清戦争錦絵では異国趣味や近代戦のダイナミックさそして、外国人の敵兵という要素が加えられて、より特殊な絵画として完成されていくのかもしれない。