016明治小史年間紀事 鹿児島県下賊徒蜂起之事件〔鹿児島港口弾薬製造所の弾薬を掠奪せんとす〕
めいじしょうしねんかんきじ かごしまけんかぞくとほうきのじけん
御届明治10年
出板人 大倉孫兵衛 日本橋通壱丁目拾九番地
画工 月岡米次郎 南金六町十四番地
價六銭
中図:西郷隆盛・篠原国幹・桐野利秋
左図:淵辺高照
干時(ときに)明治十年第一月西海の浪平穏(おだやか)ならず政府此に注目あり陸軍士官命を奉じて汽船赤龍丸へ乗組鹿児島へ入港す抑(そも)此港ハ東北ハ大隅に属し西ハ薩摩南ハ海峡に沿ひ港門(みなとぐち)至て狭し中央に桜島あり此島より鹿児島港へ海上一里也官吏ハ同所製造所の弾薬を積込んとする際同縣士族等遮止め(さへきりとどめ)弾薬を掠奪し是を暴挙の手始めとし数千人屯集し西郷氏に迫て隊長たらんことを乞ふ同氏ハ確呼として動かず諭すに大義以て為と雖も伏せずこれにより謝絶して跡を暗(くらま)せしかバ桐野篠原の両氏を巨魁と仰ぎ諸方の士族を煽動して其勢一万余人三手に分れ一手ハ熊本へ繰出し官軍と激戦す然るに西郷軍に将たりと云是不得止(やむをえざる)の謂なるか同氏ハ維新の功臣にて美名世に轟しも桜島の花をちらし悪名を万代に残さんとハ可惜々々(おしむべしおしむべし)
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