B004鹿児嶋戦記　　　　　　　　　　　　　　　　

楊洲斎周延　筆　　　　　　　　　　　　　　　　大英博物館　蔵

明治十年三月御届

出板人　　木村清助　　神田通○石丁八番地

画工　　　橋本直義　　上野北大門丁十一番地

定價六戔

明治十年二月廿三日熊本城より二里余へたてし木の葉町へ三巨魁の一名桐野利秋命ち知らずの暴徒を卒し新政府鹿児しま領をみだりに標杭を所々に立暴威を示しそなえし所え福岡鎮台一手の兵ハ植木宿へ出張し七本村を左りになし田原坂の嶮岨の地を占こぶし下りに炮發なせバ桐野が兵も向ひ戦ひ双方一歩も退そかす数刻のあいだ發合しが（うちあいしが）勝敗さらに分ざりける時の桐野一計あんじ俄かに石油を大地に雪ぎ松明をなげ投し（おろし）台兵をなやまさんと深くも工ミ謀し（たくみはかりし）とぞ

鹿児嶋戦事新誌之記者　篠田仙果　述

右図　篠原

中図　谷少将　岡本中佐

左図　桐野利秋

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