019鹿児島兩勇一騎討之圖
かごしま りやうゆういつきうちのづ
出板人 大倉孫兵衛 日本橋通一丁目十九番地
画工 月岡米次郎 南金六町十四番地
右図:西郷小平・前原一格・阿蘇岳
中図:桐野利秋
左図:野津少将・村田少佐
山鹿口の官軍ハ連戦うち勝諸所の胸壁(だいば)を抜(ぬき)勢ひ左ながら破竹のごとく植木をのぞんで進撃なすされども名を得し鹿児島勢死奮の勇を顕して一歩も去らじと激戦なす野津少将是を見て自ら陣頭に進み味方を励し(はげまし)指揮なすさまを桐野利秋遥かに見やり真一文字に馬足を走(はせ)野津少将に討てかかる其勢ひ猛虎のごとく両勇少時戦ひしがかかる場所にて一騎討の勝負ハ無益と駒をかへして引上給ふをりから弾丸飛来り桐野が左の肘に中り馬より落るを暴徒ハおどろき介抱なして退ぞけハ官軍も兵をまとめ双方息を休めたり
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静岡県立中央図書館に2種類の異版がある。S036鹿児島兩勇一騎討之圖とS037鹿児島兩勇一騎討之圖である。3枚を比較してみる。019はコントラストがきつく、墨がはっきりしている。中図の桐野の乗馬がそれぞれ明るい灰色、暗い灰色、薄い茶色くらいの違いがある。S036のみ記事の背景に青から緑色のグラデーションがかかっている。また、静岡県立中央図書館の2点は共に記事中の「励し」のしが欠落している。