u020鹿児島戰記之内 〔賊軍都の城に篭りて評議の図〕カッコ内は国会図書館の仮題
楊洲齋周延 筆
明治十年九月三日御届
画工 𣘺本直義 上野北大門丁十一番地
出板人 木村清助 神田新石丁二丁目八番地
右図:タイトル、記事、淵辺高照、桐野利秋、別府新介
中図:町田敬次郎、西郷隆盛、邉見十郎太
左図:新政厚德の旗、中根米七(半七)
黒雲四国にはびこり忽然と毒龍昇天の勢ひなりしも官軍の為に戦線を狭められて日向路へ退去せし鹿児島兵ハ都の城に篭りし処 官兵忽ち此処に迫りしかバ 城中にハ逆将西郷隆盛はじめ桐野篠原村田等の輩 本丸に會合して日々軍議をこらして謀略を廻らせしとぞ
永嶌乕重 記
国会図書館での分類は以下の通り
u020鹿児島戦記之内 〔賊軍都の城に篭りて評議の図〕
2コマ目:町田啓次郎・西郷隆盛・辺見十郎太
3コマ目:中根米七
国立国会図書館では著作権の継承が確認できないため、図書館内限定公開となっているこの作品であるが、静岡県立中央図書館で同じ版からの異版であろう作品がウェブ公開されていた。
S030鹿児島戰記之内(静岡県立中央図書館のタイトルは鹿児島戰記之内都城籠城)である。
国会図書館の亀甲括弧内のサブタイトルは分類の便宜上図書館員が名付けたものなので、同じタイトルである。絵師、文、出版者、名札も同一であるので、まず間違いないだろう。実際、図書館に出向いて、実見した上で結論を出すべきだが、それは今後の課題としたい。
版画という物は本物が複数存在することを改めて納得した次第である。