u010西國記聞
画工 古林榮成 猿樂町十六番地
出板人 山中北郎 銀座四丁目十四番地
中図:記事
左図:大総督
西國記聞 明治十年春二月梅花香を送り黄鶲谷を出んとするころ俄然(にわか)として暴風西海に起り怒涛天を衝く 西郷以下数名兵を率ゐて当さに(まさに)閣下に全らんとて天下の人民これか為に淘々たり是に於て 天皇陛下(てんしさま)御震怒あらさせられ有栖川二品親王をして征討大総督に任じ速に賊徒を鎮足(しずめ)せしめんと陸海の大軍をにつし正々堂々錦旗旭日に輝き既に熊本に進撃して奸雄を掃掾せんとす假令(たとへ)暴徒一時豺狼(さいろう:山犬と狼)の勇をふるうも豈永く王師に抗す可きんや 不日(いまに)賊軍旗を軍門に投じ官軍凱旋迅きにならん事必せり
文會逸士の誌